【発達障がい】感覚過敏に苦しむ方たち 2

奥中山高原 結カフェの福祉サービスを利用しているMさん

編み物が趣味の20代前半の女性です。

ASD(自閉症スペクトラム、旧アスペルガー症)というハンディーキャップを持っています。

普通高校を卒業し、知的レベルは高い方ですが、

感覚過敏があり、人とうまくコニュニケーションが取れず、生きづらさを抱えています。

幼少期はいじめも受け、辛い思い出があります。

同じような境遇の方や、身近にASD傾向の方がいる時のお役に立てればと思い、

今回はMさんの特に感覚過敏についての事例をご紹介します。

目次

感覚過敏とは

一般的な感覚過敏には、聴覚過敏、視覚過敏、味覚過敏、臭覚過敏、触覚過敏があります。

聴覚過敏・・・大きな音や特定の音が苦手。全ての音が苦手なわけではない。

視覚過敏・・・光が眩しく感じすぎる。人の顔が見れない等の視覚過敏もある。

味覚過敏・・・特定の味や食感に不快を感じる。

臭覚過敏・・・香水やシャンプー・制汗スプレー等に含まれる芳香剤、その他特定の化学       物質等の匂いを嫌う。

触覚過敏・・・体に触れるもので特定の嫌なもの(服の素材やタグ等)がある。

Mさんの感覚過敏

聴覚過敏

Mさんは聴覚過敏が一番あります。特に人の声に反応してしまいます。

人が多く集まるような場所では、声が何重にもなって大きな声で聞こえ、大変な不快感に襲われます。

小さな子どものたちの声を聞くのも苦手です。

自宅で父母が夫婦喧嘩をしても不調になります。

体調不良の時は、いつもより更に過敏になります。

過敏がひどいと、泣きわめきパニックを起こしてしまいます。

味覚過敏

好き嫌いが激しく、野菜はほとんど食べられません。

肉、ハンバーガー、ポテト、白米など、偏ったメニューを好みます。

野菜の他に、玄米や豆類等も苦手で、味覚過敏の他に、触覚過敏もあるのだと思います。

その他の過敏

M さんは、女性特有の生理前の不調がかなりひどく、精神的にも絶不調になってしまいます。

この状態を感覚過敏というのかどうかはわかりませんが、

自分の体内で起きている変化に、心身が過敏に反応してしまうのだと思います。

Mさんの感覚過敏の対処法

聴覚過敏の対処

周りの音がストレートに聴覚を刺激しないように、ヘッドフォンを使っています。

BOSE社の高級ヘッドフォンです(^ ^)

全ての音がイヤなわけではなく、音楽も聴きますし、うまい人の歌は聞いたりもします。

不調で、いつもより過敏がひどい時は、個室で過ごしています。

その他の過敏の対処

食べ物の好き嫌いはわがままではなく、味覚過敏によるものなので、

無理強いはしません。

無理強いすれば、パニックを起こすでしょう( ; ; )

生理前不調の時も無理をせず休むようにしています。

パニック時の対処法

Mさんは聴覚過敏がひどくなると、机をバンバン叩き、泣きわめきます。

ハサミなどで、ドアを傷つけながら荒れることもあります。

刺激を減らし落ち着くのを待つ

個室を用意し、落ち着くまで待ちます。

なだめても、よけい刺激になってしまうため、声がけも極力行ないません。

おさまったら、気持ちに共感した声がけを行う

「〜がイヤだったんだね。」「たいへんだったね。」と優しく声をかけます。

次にやるべき行動を静かにわかりやすく伝える

「気持ちが楽になるまで個室で休みましょう」

「〜時になって、気持ちが大丈夫だったら作業室に戻りましょう」

など、次にやるべき行動を伝えます。

Mさんは視覚優位の方で、紙に書いて伝えるとわかりやすいようで、

落ち着いて聞いてくれます。

体調に合わせた対応

皆と一緒にいたい!!

Mさんは頻繁にパニックを起こすので、個室で過ごすことが多いのですが、

個室で過ごす時間が長すぎると

「私は、いつまでここにいれば良いのですか?」と怒ることがあります。そして、

「どうせ私は、こうやって一人ぼっちになっていくんです!!」と泣き出します。

聴覚過敏で環境調整が必要なのですが、

幼少期から人間関係がうまくいかず、いじめられた辛い経験がフラッシュバックして

精神的不安定に陥ってしまいます。

なので、体調を見ながら過ごす部屋を変える配慮をしています。

プラスの声がけ

不安が強く、自己肯定感が低いMさんは、

「自分は他のメンバーに嫌われている」「どうせ一人ぼっち」

という気持ちにすぐなってしまいます。

パニックを起こしているMさんを、静かに遠巻きに見守っている他のメンバーの様子を見て

そのように感じるようです。

「みんなMさんのことが好きだよ。」

「Mさんが落ち着くのを待っているだけだよ。落ち着いたら、また一緒に過ごしましょう」と

プラスの声がけをするようにしています。

まとめ

Mさんは知的ハンディーキャップはなく、高校時代の成績はとても優秀でした。

しかし、感覚過敏というハンディーキャップがあるせいで、

学校生活は大変でしたし、卒業してからも、様々生きずらさを抱えています。

Mさんの事例を参考に

「大きな声や音が苦手な人がいるんだ」

「食べ物の好き嫌いは単なるワガママではないんだ」

と知っていただけるだけで、

「周りの人にわかってもらえない」という辛さを持つASDの方たちが救われます。

素直で裏表のないASDの方たちが、少しでも生きやすい社会になればと願います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする