町のヤングケアラーの実状・多様性の理解

2022年3月議会では、以下の2項目について一般質問をしました。

それぞれ、町長と教育庁の答弁も掲載します。

目次

町内のヤングケアラーの実状について

ヤングケアラーの問題が、国や県や社会でも取り上げられるようになってきております。

一戸町のヤングケアラーの実態と、今後、問題解決に向けてどのような対策を立てられるのか町長の考えを伺います。

町長答弁

ただ今の、山舘 章子 議員のご質問にお答えいたします。

ヤングケアラーは、法令上の定義はありませんが、一般的には家事や家族の世話、介護などを日常的に行っている18歳未満の児童を指すとされています。

ヤングケアラーの実態を把握するために、令和3年7月に県が各市町村の要保護児童対策地域協議会を通じて行った調査では、当町ではヤングケアラーと思われる児童はおりませんでした。

なお、調査結果の概要を簡単に申し上げますと、県内で小学生から高校生までの児童34件がヤングケアラーとして把握されており、そのケアの対象や内容は、幼いきょうだいの世話、障害を持つ親の介助、介護を要する祖父母の介助など多岐にわたっております。

ヤングケアラーの実態については、「家族内のことで問題が表に出にくい」ことや、「世話をしている子どもや家族が問題としてとらえていない」など、把握することの難しさがあるとされております。県では令和4年度に学校を通じて実態把握を行う予定としていることから、町として、県や学校等と連携しながら実態把握に努めてまいります。

また、今後の調査結果に基づき、該当する児童や家庭がある場合には、関係機関と連携しながら支援してまいります。

以上で、答弁を終わります。

特別支援教育の充実と多様性への理解について

特別支援教育について、当町では、ここ数年、教育と福祉の連携が図られ必要に応じてケア会議が開かれる等、サポート体制が向上しているように感じております。

この度の教育長施政方針演説に「県立一戸病院の公認心理士の協力を得て、就学を含めた教育支援体制の充実と生徒一人一人の状況に応じたきめ細やかな指導の更なる充実を図る」とありますが、特にも就学時の公認心理士の協力について詳細を伺います。

対象になる児童の家族にとっては、就学時の心理検査や町からの通知が精神的な負担にならないか心配しているところです。ご家族の気持ちに配慮した町としての関わりを期待しておりますが、町の方針を伺います。

また、障がいやジェンダーに対する多様性についての理解は

幼少期からの教育が非常に大事だと思います。

東京オリンピック・パラリンピックでは「多様性と調和」の推進が理念として掲げられ、 人種や性別、言語、宗教、障がいの有無など違いを互いに認め合うことの大切さが謳われました。一戸町では「多様性と調和」について、子供達にどのような教育をしていく方向でしょうか。教育長の見解を伺います。

教育長答弁

ただ今の、山舘 章子 議員のご質問にお答えいたします。

町では、子どもの適切な就学支援を行うため、医師や教育関係者等で構成する就学支援委員会を組織し、就学時の健診と各校の校内就学支援委員会の結果を受けて、障がいの心配がある幼児の状況に応じて専門的な立場から調査及び審議を行い、一人一人の子どもにとって適正な就学先を検討し保護者の同意のもとに決定しております。

この調査から審議までの過程において、公認心理師に関わっていただく業務は、知能検査研修の講師、新規者の個別検査、審議の際の助言の3つであります。

理由としては、検査の種類が変わったことで検査員の新たな研修が必要になったこと、新規の検査を新たな検査方法で行いより正確な検査結果を把握したいこと、就学先の審議にあたって助言をいただきたいというものであります。

このことにより、今まで以上に個々の障がいの程度や能力に応じた就学環境に導くことができるとともに、教職員のスキルアップや医療・福祉・教育の連携が図られるものと考えております。

就学支援を必要とする児童生徒の保護者の精神的負担については、児童一人一人の教育的ニーズに応じた支援を保障するため、福祉部と連携し早期からの教育相談や就学相談を行い、保護者に十分な情報を提供するとともに、幼児施設においても、必要な支援について共通理解を深め、保護者の障害受容につなげ、保護者のニーズと必要な支援について合意形成を図るよう努めております。

具体的には、書類による通知等はせずに必ず面談を行い、顔の見える機会を繰り返しながら、保護者の気持ちを受け止め、安心感と信頼感を持ってもらうことを意識し、必要に応じて「いちのへサポートファイル」を作成するなど、保護者が子どもの成長に気づき、子育ての喜びを感じられるよう努めております。

つづきまして、多様性と調和についての教育についてお答えします。

学校教育の中に人権教育というものがあります。文部科学省では、学校における人権教育の目標を、「一人一人の児童生徒がその発達段階に応じ、人権の意義・内容や重要性について理解し、自分の大切さとともに他の人の大切さを認めることができるようになり、それが様々な状況下での具体的な態度や言動に現れるとともに、人権が尊重される社会づくりに向けた行動につながるようにすること」としています。

この目標を達成するために、学習指導要領に沿った指導では、道徳科の学習を要として、学校生活全体の中で生命を大切にする心や他人を思いやる心、善悪の判断などの規範意識等の道徳性を身につける学習を行っております。

また、社会科では、6年生で「日本国憲法第11条 基本的人権の尊重」について学習するとともに、「ハンセン病と人権侵害」、「先住民族アイヌの人々の人権」、「障害者差別解消法」についても学習します。

ご質問の町の具体的方針ですが、授業に関連した取組として、生命を大切にする心の育成では、中学2年生を対象に「生と性を考える学習会」を、他人を思いやる心の育成では、福祉部と連携した「孫のための認知症講座」や社会福祉協議会と連携した「キャップハンディ体験事業」を、善悪の判断などの規範意識の育成では、PTAと連携した「薬物乱用防止講座」や「情報モラル講座」を継続してまいります。

また、「ふるさと学習」並びに「SDGs学習」を柱とした「いちのへ御所野縄文学」の学習において、自然の豊かさと共存した生活を維持し、不必要な争いを避け、集団内での階級や身分を設けることなく、優れた社会性を構築し、1万年も維持した縄文人の生き方を探求し、現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、人類が将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組む持続可能な開発のための教育・ESDを推進してまいりたいと考えております。

今後は、これからスタンダードとなるSDGsの17の目標のなかに多様性と調和に関わるものがあり、そのことを意識して教育を進めていくことが重要だと考えております。そして、一番大切なのは、子どもに関わる私自身も含めた大人が多様性と調和についてしっかり理解することだと思っております。

以上で、答弁を終わります。

おわりに

私の2つの質問に対して、町長・教育長より誠実なご回答を頂きました。

福祉と教育の分野は私の専門分野でもあるので、今後も少しずつ取り上げていきたいと思っております。

一戸町は小さい町のわりに福祉事業所の数が多く「福祉の里」と呼ばれています。

また、福祉事業所を運営している私の立場から見ても、福祉分野の町の対応は他市町村よりも丁寧だと感じています。

そして、ここ数年、福祉と教育の分野の連携も密に図られるようになり良い傾向だと思います。

今後は、ヤングケアラー、発達障がい、ジェンダー問題等についても、町民全体で理解を深め、SDGsの目標でもある「誰ひとり取り残されない町」を目指したいところです。

「優しく思いやりがあり、どんな人でも住みやすい町」として町の魅力に磨きをかけていけば、一戸町に魅力を感じ、「一戸町で子育てをしたい」「一戸町に住みたい」と思ってくださる方が増えるのではないかと思います。

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